食品廃棄物が牛ふん尿のメタン発酵に及ぼす影響を三大栄養成分別に調べるために,たんぱく質,炭水化物,脂質をそれぞれ主成分としたプロテイン,パン粉,バターを牛ふん尿とともに有効容積6Lの発酵槽に投入し,水理学的平均滞留日数30日の中温連続メタン発酵実験を行った。発酵性能の低下が発生しない食品廃棄物の限界VS負荷は,パン粉2.2gVS/L・day,バター2.4gVS/L・day,プロテイン0.8gVS/L・dayであった。食品廃棄物の投入VSあたり平均メタンガス発生量はバターが最も大きく0.82L/gVS,次いでパン粉0.42L/gVS,プロテイン0.31L/gVSの順であった。プロテインのメタンガス発生量は理論値の54%と低かった。たんぱく質の共発酵では発酵阻害物質であるアンモニアが発生するためと考えられる。食品廃棄物のメタンガス濃度はバターが最も高く68%,次いでプロテイン64%,パン粉57%であった。