わが国では, 水銀を含む乾電池が使用後に廃棄されることで, 水銀による環境汚染が懸念されるとして, 1983年に使用済み乾電池問題が大きな社会問題となった。特に, 使用済み乾電池の埋立処分に伴う水銀の埋立特性は不明な点が多く, その挙動がこれまで十分に解明されていない。
本研究では大型埋立実験槽を用いて, 水銀の浸出水への流出や水銀の気化に伴う大気拡散状況を調査した。そして, 埋立10年後に埋立実験槽を解体し, 埋立地内での水銀の挙動を検討した。
その結果, 埋立10年間に浸出水へ流出した水銀は総水銀量の0.1%以下であった。大気拡散量は2%以下であり, 埋立地系外への水銀流出は大気拡散の方が寄与していた。また, 乾電池中の水銀が外装部の破損や腐食によって廃棄物層へ移動していたが, 埋立10年後においても総水銀量の90%以上が埋立実験槽内の廃棄物乾電池中に残存し, 水銀が埋立地内から系外に流出しにくいことが確認できた。