抄録
現在, 余剰汚泥 (以下, 汚泥と称す) の発生量は, 下水道普及率の増加にともない, 年々増大する傾向にある。一方, リンはわれわれの生活に欠かせない必須な資源であり, かっ世界的に枯渇が懸念されている。わが国においてリンは国外から大量に輸入しており, この多くが下水道に排出されている。汚泥からリンを回収するための手法の一つとして, 可溶化技術がある。様々な可溶化技術が研究されており, 亜臨界状態で汚泥を可溶化する水熱処理法 (以下, 亜臨界水処理と称す) を用いた技術もその一つである。本研究では, 亜臨界水処理を用いて汚泥を可溶化させ, 得られた可溶化液からMAP法によりリンを回収する実験を行った。この技術を用いることで, 汚泥の可溶化率が80%程度まで達した。加えて, MAP法を用いて可溶化液からリンが94~97%回収できることがわかった。