2005 年 16 巻 6 号 p. 467-480
その他プラスチック製容器包装のごみ焼却発電によるサーマル・リサイクル, および鉄鋼産業におけるケミカル・リサイクルを含む事例のLife Cycle Assessment (LCA) を対象として, 既存産業が関与するリサイクルのLCAにおける適切なシステム境界を検討した。まず, 事例間での物質・エネルギー収支の変化を検討し, 変化が予想されるプロセスをすべて包含するよう, 既存のLCA研究よりも拡張したシステム境界を設定した。次に, 製鉄所内のプロセスを省略あるいは包含したシステム境界に基づくインベントリ分析を実施したところ, 両者で事例間の相対的評価が明確に異なり, 前記プロセスの考慮の有無が評価を大きく左右することが示された。この結果から, 既存産業プロセスが関与するリサイクルにおいて, 産業内の物質・エネルギー収支が変化するプロセスの明確化と, これを包含したシステム境界の設定が必要であることが示された。