廃棄物学会論文誌
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論文
京都市における廃食用油の排出実態とバイオディーゼル燃料の性状について
中村 一夫池上 詢
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2006 年 17 巻 3 号 p. 193-203

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抄録

家庭や事業所から排出される廃食用油の主要組成と不純物の実態を調査し, 個別排出源では性状変動が大きいが, 回収・集積の過程で混合され, 定常的に均質化が図られていることを示した。また, 廃食用油の劣化状況や主要成分などの特性指標である, (1) 酸価と遊離脂肪酸, (2) ヨウ素価と飽和脂肪酸の関連性について解析した。さらに, 原料である廃食用油とその転換燃料の品質の関係について, エステル転換反応および水洗による (1) 引火点の低下および動粘度の向上, (2) 脂肪酸組成比率およびヨウ素価の維持, (3) 遊離脂肪酸および酸価, 金属類, 無機塩素の低減を確認した。また, バイオディーゼル燃料の特性とその要因について, 燃料中の残留グリセリド量 (エステル交換反応率) の違いが動粘度, 目詰まり点, 10%残留炭素に影響を与えていることがわかった。バイオディーゼル燃料化事業推進のため, 廃食用油の受入基準を, 酸価, ヨウ素価, 飽和脂肪酸組成, 水分・夾雑物について定めた。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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