本報では, 都市ごみ焼却灰充填層からの浸出水の水量水質が, 実気象条件下でどのように変化するか, 1年間の屋外カラム実験により検討すると共に, 実際の降雨条件と内部における溶出とを考慮した水量・水質タンクモデルを構成し, これによる説明を試みた。得られた主要な知見は次の通りである。 (1) 月間の浸出水量の降水量に対する比率, すなわち月浸出係数はもちろん, 月間の層蒸発量の水面蒸発量に対する比率, すなわち月比蒸発量もなお気象条件の変化を反映し, 年間を通じて大きく変動した。 (2) 浸出水Cl-濃度の変化は, 水量タンクモデルと焼却灰中Cl成分の2段階溶出を仮定した水質タンクモデル, すなわち推定可能溶出量分が先に溶出し, 引き続き「含有量一推定可能溶出量」分も低速度で溶出するというモデルとを組合わせ用いることによって説明できた。 (3) 焼却灰単独の充填層でも, 実気象条件下において灰中のCOD成分およびTN (全窒素) 成分の一部が微生物分解すること, および微生物分解の寄与は灰中の含有量に対しては僅かであるが溶出量に対しては大きいことが, 各々推定された。