廃棄物学会論文誌
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論文
海面埋立廃棄物処分場における有機物の溶出と酸化池での除去機構
福永 勲山本 攻井上 善介
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1995 年 6 巻 2 号 p. 49-56

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抄録

大阪市北港廃棄物処分地南地区について, 1区埋立処分地酸化池の水質は, 先行埋立を実施した1985年から’87年4月海面埋立を実施するまでCOD, BODなどが徐々に上昇してきたのが, 海面埋立を実施した直後から急激に上昇し, その後BODは横ばい, CODは微増という状況であった。ところが, 2層目埋立に入った'90年4月頃から再度海面埋立を実施した'92年1月頃まで減少傾向を示し, その後9月まで上昇し, その後減少し, '93年12月現在に至っている。この原因を海面埋立と2層目・3層目埋立による埋立状況の変化によるものと考え, このデータを用いて, 現場データからみた水質変化に及ぼす要因解析を行ってモデルを組み立て, 水質予測と今後の対策に役立てることとした。モデル作成に利用したデータは, 週1回の酸化池水質, 月1回の焼却灰による先行埋立量と面積, 海面および第2層・第3層の合計埋立廃棄物重量, 海面埋立完成面積, 第2層・第3層埋立完成面積である。 (1) 先行埋立廃棄物からの溶出量は面積に比例し, 海面埋立および第2層・第3層の廃棄物からの溶出, 降雨による洗い出し速度は, 埋立重量に比例する, (2) 溶出有機物の分解速度係数は, 焼却灰による先行埋立溶出と, 海面埋立・第2層・第・3層埋立とは異なると共に, 両者の合計が総有機物量となる, などと仮定し, 一定の初期条件で計算をした結果, モデル式と実測値は比較的よく一致した結果を示した。 (3) 実際の埋立工法への応用として海面埋立を一定部分行い, その後2・3層埋立を行う間に自浄作用による水質浄化を期待する方法と海面埋立をすべて行った後2・3層埋立を行う方法があり, その選択は放流条件や水処理条件によることがわかった。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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