1995 年 6 巻 2 号 p. 66-72
下水汚泥スラグの溶融処理により生成するガラスの物性と化学組成, 特に鉄イオンの状態との関係を詳しく検討した。
一般のガラスと比べると, スラグより生じたガラスは非常に多量の酸化鉄を含有し, そのため強く着色し不透明である。またアルカリ酸化物含量が少なくアルミナを多く含むため, アルミノ珪酸塩ガラスに近い物性値を示している。
ガラス中のFe2+イオンの定量分析をセリウム滴定法により行った。スラグに炭素粉末を混合溶融することによりガラス中のFe2+/ (Fe2++Fe3+) 比を調整することができた。Fe2+が多くなると熱膨張係数が大きくなり, 密度, ガラス転移温度および粘度が低下することが明らかになった。