抄録
北海道を中心に大量に廃棄されるホタテ貝殻は, 投棄場所の確保と臭気対策の問題が次第に顕在化している。カルシウム資源の一つとしての用途拡大は, これらの問題の解決と資源の有効利用の両面からもっとも望ましい方策である。
本研究ではホタテ貝殻を生石灰として, あるいはそれを再炭酸化しての工業的利用の可能性を探るために, 灯油を燃料とした内熱式の流動層による連続焼成実験を行い焼成条件および装置特性について検討した。原料貝殻を3mm以下に予備粉砕することにより良好な流動化状態が維持でき, 流動層底部から連続的に抜き出した焼成品は温度850℃, 平均滞留時間が80分以上で99%以上の高い焼成率が得られた。焼成品 (生石灰) の反応性と亜硫酸ガスの吸収特性を石灰石の焼成品と比較した結果, ホタテ貝殻からの生石灰は比表面積が小さい一方で細孔径が大きいため, 脱硫反応に対して優れた特性を示すことがわかった。