抄録
岩手・青森県境の不法投棄廃棄物は、一部が焼却・溶融処理されることとなっている。廃棄物の溶融スラグを再利用する研究は一般廃棄物に関するものが多く、不法投棄廃棄物についての報告例は少ない。そこで、我々は現場の廃棄物を焼却・溶融処理しコンクリートやアスファルトの骨材として再利用するための研究に取り組んでいる。すでに2ヶ所の溶融炉で試験溶融を行い、得られた溶融スラグの安全性評価や、コンクリート骨材評価などを行った。ここでは前報までとは別の2ヶ所の溶融炉で得られた溶融スラグについて安全性評価とコンクリート骨材評価を行った。その結果、安全性評価ではフッ素の溶出が、コンクリート骨材評価では塩化物量と低密度の粒子の存在が問題となった。しかし、それらの問題は溶融物の冷却速度制御や水洗、破砕の後処理で改善が可能ということが分かった。不法投棄物溶融スラグがコンクリート骨材として利用できる可能性は高い。