日本水処理生物学会誌
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総説
1,4-ジオキサン含有排水処理における従来技術の課題と生物学的処理適用の可能性
山本 哲史井上 大介斎藤 祐二池 道彦
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2019 年 55 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

我が国では,2012年に1,4-ジオキサンが一律排水基準項目に追加されたが,特定の業種においては暫定基準が2021年まで適用されることになっている。しかしながら,1,4-ジオキサンは極めて安定な物性を有することから,活性汚泥処理等の従来の排水処理技術の多くでは十分な分解・除去が期待できない。また,促進酸化法は分解・除去効果は確認されているものの,経済性や実用面において重大な課題を抱えている。このため,1,4-ジオキサン含有排水の実用的な処理技術が確立されているとはいえない。一方,近年では,1,4-ジオキサン分解菌を用いた生物学的処理に関する研究が進められており,新たな処理技術として期待されている。そこで,本稿では,従来の排水処理技術における1,4-ジオキサンの処理性能や課題等を整理するとともに,1,4-ジオキサン分解菌を用いた排水処理技術に関する研究動向について取りまとめた。

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© 2019 日本水処理生物学会
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