2025 年 61 巻 3 号 p. 67-79
ラボスケールの散水ろ床と菜園型人工湿地を組み合わせた廃水処理システムを構築した。A系とB系の散水ろ床(φ140×H315 mm×3層)には、共通してガラス発泡体を充填した。A系とB系の人工湿地(W470×L660×D330 mm×2)には、それぞれガラス発泡体と赤玉土をろ材として充填した。洗剤を含む模擬廃水(TOC 196 mg/L、T-N 91 mg/L、T-P 33 mg/L、MBAS 1.6 mg/L)を5.0~12.5 L/日で200日以上、両系で並列に処理した。散水ろ床は、TOCの82~85%を除去したが、T-NとT-Pの除去率はそれぞれ24~25%と10~12%であった。続く人工湿地では、両系でTOCの10~12%、T-Nの40~42%が除去された。A系の人工湿地ではT-Pが40%しか除去されなかったが、黄菖蒲、ヨウサイ、ヒマワリ、ミニトマト、ガーデンシクラメンなどを育成することができた。B系の人工湿地ではT-Pが86%も除去されたが、植物の生育が不良であった。人工湿地では外部炭素源として敷きわらを設置すると脱窒が促進された。散水ろ床によってLASから酸化されたSPCは、人工湿地において除去された。本システムは、水温が低下すると処理性能が低下するため、温暖な地域での導入が望ましい。