紙パ技協誌
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総合報文
連続クラフト蒸解における広葉樹材パルプの高収率化とその評価法(第3報)
―クラフトおよびポリサルファイド蒸解液とアントラキノンを用いる全缶等温蒸解のパルプ収率―
横山 朝哉大井 洋
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58 巻 (2004) 12 号 p. 1742-1751

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抄録

本報告では,連続クラフト蒸解における広葉樹材クラフトパルプの高収率化とその評価法の研究に関する前報を総合し,考察を加えた。
クラフト蒸解液(白液)にポリサルファイド(PS),および,アントラキノン(AQ)を添加すると,パルプ収率が約4.5―5%向上した。また,黒液を白液で置換することにより,収率はさらに向上した。添加する全ての活性アルカリ(AA)の70%を含むPS蒸解液,および,AQを反応開始時から用い,蒸解温度が135℃に到達したときに,残りの30%のAAを含む白液で黒液を交換すると,最高のパルプ収率が得られた。
広葉樹材クラフトパルプの収率と,パルプの酸加水分解により得られるキシロースのグルコースに対する量比(X/G比)の間には,良い相関関係が存在した。しかし,この関係は原料樹種に依存するため,X/G比から収率を測定するためには,予めそのパルプの原料樹種について,収率とX/G比の関係を調べる必要がある。また,比較的高い収率のパルプでは,収率とX/G比の相関は直線的でなくなり,より大きいX/G比を持つことがわかった。
工場パルプのX/G比の分析により,パルプ収率に関して,PS―AQ蒸解液とクラフト蒸解液とを添加する全缶等温蒸解(PS―AQ ITC)法が,クラフト蒸解液のみを添加するクラフトITC法に対して優位であること示された。すなわち,工場パルプのPS―AQ ITC法における収率は,約57.0%と見積もることができた。これは,非常に高い収率であり,工場におけるPS―AQ ITC法が,最も効率の良い条件で稼動されていることが明らかになった。

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© 2004 紙パルプ技術協会
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