59 巻 (2005) 10 号 p. 1472-1477
製紙業界では長年の間, 紙の白さ, 不透明性を向上させる目的で炭酸カルシウム, 二酸化チタンなどが填料として広く使用されてきた。しかし, 不透明性を改善するために, 例えば炭酸カルシウムを用いると, 充填量を多くする必要があり, 品質面で表面強度や耐磨耗性の低下を招く。一方, 二酸化チタンは不透明性付与効果は大きいが, 高価であり, また粒子径が小さいためにワイヤーパートでの歩留まりが低く, 白水回収系内での負荷が増加するという問題があると言われている。
近年個々の欠点をカバーし, 互いの利点を付与する複合材料の研究開発が行われ, 二酸化チタン-炭酸カルシウム複合粒子において数例の特許が報告されている。
今般開発したピグメント「Valkofil」は, 二酸化チタンと水酸化カルシウムの混合水系懸濁液を高剪断領域で炭酸化させることにより, 二酸化チタンをより均一に分散し, さらにその粒子の周りを炭酸カルシウムで被覆させることに成功した。これを内填した手漉き紙の特性は, 優れた不透明性を付与することが見い出されたので, ここに紹介する。