紙パ技協誌
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研究報文
糊で貼り合わせた紙の強度的性質
―紙系文化財の修復における紙と糊の役割―
小竹 毅郎山内 龍男宇佐美 直治
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65 巻 (2011) 4 号 p. 391-401

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抄録

坪量および密度において和紙に類似する紙を木材パルプから作成し,それに糊を塗布して貼り合わせた紙における糊の塗布および浸透状態を,次いで糊塗布に伴う強度向上効果を検討した。刷毛を用いた塗布において,糊の濃度が小さいと糊は紙層内にかなりよく浸透し,含浸により作られるような糊―紙複合構造と類似の構造を形成する。この場合糊塗布量の増加と共に引張強さは顕著に増大する。他方糊の濃度が大きいと,糊は紙層内にあまり浸透することなく,ドクターブレード塗布で見られるような糊層が紙に挟まれた構造を有する貼り併せ紙になり,強度は殆ど増加しない。耐折強さにおいては糊濃度および塗布法の影響は極めて大きく,引張強さと異なり,糊が紙層内に十分浸透しても糊塗布量が多いと脆性的な破壊が生じ易い。従って紙層内への糊の均一な浸透の生じる含浸による添加で糊添加量約33%,紙層内への浸透は十分だが均一性の劣る刷毛による塗布では糊添加量約25%がそれぞれ最大の耐折強さを与え,それら以上の塗布はむしろ耐折強さの低下をもたらす。

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© 2011 紙パルプ技術協会
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