紙パ技協誌
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総説・資料
発電用ボイラへの溶射適用例
上野 有史延東 直毅
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キーワード: U4ボイラ, Z0その他
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2012 年 66 巻 5 号 p. 491-493

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抄録

溶射とは被覆したい溶射材料を燃料ガス,プラズマ,アークなどの熱源により溶融,軟化させ加工対象物(主に金属)表面に吹き付けて成膜させる技術である。吹き付けられた溶融粒子は瞬時に冷却されて固化し,これらの微細な粒子が積層することにより皮膜が形成される。
この溶射技術は耐摩耗性,電気絶縁性,耐食性などの機能を得るための金属表面改質技術の一つとして,鉄鋼,産業機械,エネルギー,液晶・半導体製造などの各種産業界で広く適用されている。
また,溶射技術は他の表面処理技術と比較して成膜スピードが速いこと,基材への熱影響が少ないこと,システムがコンパクトで可搬性に優れることから,大型機器の現地補修にも適している。
各種ボイラが抱えている問題点の例を以下に示す。
1)貫流式ボイラ(石炭燃料):原料由来のS成分による硫化腐食やフラッシュアイにより摩耗する。等
2)外部循環流動層ボイラ:火炉内に流動砂等が高速で循環するため,火炉水管がエロージョンにより摩耗する。等
3)内部循環流動床ボイラ:低速ガス流速なため外部循環式と比較すると摩耗環境は軽減されるが,燃料選択肢が広いこともあり,一般に腐食環境は厳しくなる。
弊社は,発電用ボイラや石油精製設備等の現地施工実績を多数有しており,本稿では循環流動層ボイラ(CFBC)を中心として発電ボイラへの溶射適用例について紹介する。

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© 2012 紙パルプ技術協会
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