抄録
ビスコースレーヨン工業は,かつて日本国内では,生産量,品質ともに世界第一の座を占めるまでに至った。やがて,合成繊維の台頭によりその地位は取って替り,国内のレーヨン工業は衰退していき,現在では2社を残すのみとなった。
一方,世界では,その生産量は年々増加傾向にあり,現在では400万トンを超える量となり,その価値が見直されている。
本稿では,ビスコースレーヨンの製造方法について,ビスコース原液工程及び紡糸工程について説明し,その特徴,用途,また特殊機能を付与した機能性レーヨンについて紹介する。
ビスコース製造方法について,下記項目に沿って解説する。
1)漬・圧搾・粉砕
2)老成・硫化・溶解
3)熟成・ろ過・脱泡
4)紡糸
5)精練・乾燥
6)強力レーヨン
このようにして製造された,ビスコースレーヨンの特徴とそれを活かした用途を紹介し,最後に当社の取組みとして,機能材料を混合紡糸した機能性レーヨンについて紹介する。