紙パ技協誌
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省エネルギー特集 II
新規木質燃料の混焼試験の状況
小川 裕之
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キーワード: U0その他
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2020 年 74 巻 7 号 p. 689-692

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抄録

我が国において石炭火力発電はエネルギーの安定供給の観点からは未だ重要な電源である。一方で,石炭使用によるCO2排出は環境面の大きな課題である。地球温暖化対策への社会的要求の高まりの中,当社では低炭素社会の実現に貢献する温室効果ガス削減への取り組みの一つとして,微粉炭ボイラへ使用可能な新規バイオマス燃料の検討を進めてきた。木は大気中のCO2を吸収して成長することから,燃料として燃焼しても大気中のCO2量に影響しない(カーボンニュートラル)とみなされるため,石炭を木質燃料に置き換えることでCO2排出量を削減することができる。

一般にバイオマス燃料は化石燃料と比べて水分が多く,多様な燃料を利用可能なストーカ式や流動床式が多く用いられるが,当工場N1発電所のN1号ボイラは微粉炭式であるため,木質バイオマス燃料を使用するには微粉炭機(ミル)で粉砕可能でなければならなかった。そこで,蒸気爆砕ないしトレファクション技術を用いて製造された燃料を選定,燃焼試験を実施した。燃料の発熱量に差があるため,混焼比率は30wt%を上限としたが,微粉炭機での問題も発生せず,ボイラでの燃焼も可能であった。

本報告では,これら新規木質燃料を微粉炭ボイラで混焼した際の操業状況について報告する。

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