紙パ技協誌
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省エネルギー特集 II
従属発電の導入
─小水力発電導入による省エネ─
大江 健史
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キーワード: U7電気, U0その他
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2020 年 74 巻 7 号 p. 693-697

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抄録

エネルギー価格,地球温暖化対策に関心が高まる中,当社グループでは省エネの推進,再生可能エネルギー設備の導入を積極的に進めている。王子エフテックス中津工場においても省エネ機器の導入や操業改善による省エネ活動に取り組んでいるが,省エネを推進していくためには新たな視点による発掘が必要である。そこで,今回は工場既存の流水工程の落差に着目して従属発電(小水力発電)の導入を検討した。

水車形式は流水工程を考慮して流量と有効落差からポンプ逆転水車を選定し,ポンプ仕様は遊休品のポンプを仮設して吐出フランジから吸い込みフランジへ水を流入させテストを実施し求めた。テスト結果より,ポンプを水車として使用する場合は,設置条件(流量と落差)の70~80%程度の能力を有するポンプでよいことがわかった。テスト結果を踏まえて,安定した流量が確保できるパルセータ(凝集沈殿装置)入口とろ過水槽入口の2箇所にポンプ逆転水車を設置した。ここで,ポンプは安価に省エネを実施することを目的に,当社グループの遊休品を探し選定した。パルセータに設置したポンプ逆転水車の発電出力は3.5kWとなり,年間発電量として30,100kWhを得ることができた。ろ過水槽でも同様に発電することができた。

今回は,新しい発想として既存の流水工程からエネルギーを取り出して発電することで,省エネ効果を上げることができた。本事例のように遊休品のポンプを用いることで導入コストを抑えながら省エネを実施することも可能となる。

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