紙パ技協誌
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総説・資料
板紙関連原料調整技術
─低グレード古紙対策─
浦田 治朗
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2020 年 74 巻 7 号 p. 715-722

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抄録

米中間の貿易摩擦等の外的要因により,日本国内の古紙調達は大きな影響を受けている。

更に中国では2020年末には固体廃棄物の輸入0を目標とする旨公表しており,未選別古紙の輸入が制限されると推測する。今後,良質な古紙は不足,未選別古紙は過剰気味となる事が予想され,低グレード古紙を使用する頻度が多くなるであろう。その為には原料調整設備を低グレード古紙に対応できるように強化していく必要がある。また安価な低グレード古紙を使用する事で原料コストを低減できる,といった観点からも有意義である。

低グレード古紙を使用した場合でも古紙処理設備では製品品質を維持する事を求められる。加えて混入する異物量の増加に対し,安定操業できる設備である事も重要である。国内の製紙工場は合理化が進んでいる反面,想定外の異物混入により製品品質に大きな影響を及ぼす場合がある。低グレード古紙対策として,日本よりも異物含有量の多い古紙を使用している海外古紙処理設備が参考となる。

当社では複数の海外古紙調整プラントを手掛けてきた。その実績,経験及び蓄積されたデータの解析により開発された,複数の低グレード古紙対策の新技術を有している。これらの新技術は日本国内でも低グレード古紙対策の一翼を担えると確信する。

本稿では板紙にクローズアップし,工程毎にその対策として有効な最新の古紙処理技術を国内外の実績と共に紹介させて頂く。

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© 2020 紙パルプ技術協会
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