紙パ技協誌
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技術報文
紙パルプ分野におけるICP発光分析法と蛍光X線分析法による微量金属分析
武井 俊達清水 文彦森下 敬士近藤 光隆
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2020 年 74 巻 7 号 p. 731-736

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抄録

これまで環境試料及び紙パルプ工場より発生する工程水の元素分析は,複数の元素を同時に測定する必要があることから,微量分析になることも多く,様々な装置が利用されてきた。なかでも微量金属の測定は,一般に誘導結合プラズマ発光分光分析のような高感度で広いダイナミックレンジをもつ,多元素同時分析が求められ,海水,河川水,排水など,さまざまな試料に応用されている。しかし,海水など環境試料中のマトリックス成分(目的元素以外の成分)は濃度範囲が広く,高濃度のマトリックスを含む試料を装置に導入すると,イオン化干渉(イオン化平衡がずれて測定波長の発光強度が変化)による,目的元素の検出感度低下,ベースラインの上昇を引き起こし分析精度が低下する。そこでマトリックス成分の干渉を抑制する手法としてイオン化干渉抑制剤及び簡易的な前処理方法である固相抽出法を検討した。

本研究では,一般的にマトリックス濃度が高い海水及び白液(KP製造の苛性化工程で製造された液)であっても精度が高く,信頼性の高い分析値が得られるように固相抽出法などを検討し,あわせて迅速で簡便的な手法である蛍光X 線分析法による,高感度分析法も確立できたので報告する。

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© 2020 紙パルプ技術協会
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