セロファンの製造技術を発展させて開発されたザンテート化セルロースナノファイバー(XCNF)は,容易に元の官能基を持たないセルロースナノファイバー(RCNF)とすることができる。これまでに機械解繊でしか得られなかった官能基を持たないセルロースナノファイバーの中で,最も細く,透明性や粘度特性に優れ,またパルプに近い熱安定性を有することから,化学修飾セルロースナノファイバーとは異なる用途に展開できると考え,現在さまざまな用途開発を進めている。
今回の報文では,RCNFは水スラリー中で緩やかな結合力で凝集体となっていること,200℃の環境下でも優れた耐熱性を有すること,水スラリーだけではなくジオール類と混合,乾燥することでRCNFの固形分が10〜15 wt%の乾燥体とすることができること,またこの乾燥体の水スラリーに戻した時の特性が,元のスラリーの特性とほぼ同一であることがわかった。また工業界で広く利用されているポリウレタンの特性向上に寄与できる可能性があることを見出すことができた。
現在福井・嶺北エリアにて実証プラントを稼働させており,今後,上記の特長を活かしながら,新たな特長を探索し,応用展開を進めていく予定である。