紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
CNF特集
水中カウンターコリジョン法により製造されたセルロースナノファイバーの原料種に依存した特性
辻 翼
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 76 巻 2 号 p. 115-119

詳細
抄録

セルロースナノファイバー(CNF)は大比表面積を有するため,表面における物質との高い相互作用力や吸着力の発現が期待されており,表面特性の影響を受けて得られる機能性材料は幅広い分野への応用展開が盛んに試みられている。そのため,CNFsを利用して新規機能性材料を開発する上で,CNFsの表面特性および表面特性に起因する諸特性を理解することが重要になる。

CNFsは様々な手法により製造されているが,一般的に親水性の表面を有している。当社は水中対向衝突(ACC)法を用いて異なる原料種からACC-CNFsを製造しており,「nanoforest®(ナノフォレスト)」という商品名で製造販売を行っている。他のナノ微細化手法により得られる親水性のCNFsとは異なり,ACC-CNFsは親水性および疎水性の異なる面から成る両親媒性表面を有することが大きな特徴であり,原料種に依存して表面特性および表面特性に起因した諸特性は異なる。本稿では,nanoforest®のラインナップの中で,竹漂白クラフトパルプ(BBKPs)および広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKPs)を原料としたACC-CNFsの表面特性および表面特性に起因した特性を比較評価した。

他のナノ微細化手法により得られる親水性のCNFsとは異なり,BKPs由来のACC-CNFsは両親媒性の表面を有しており,ACC-BBKPsはACC-LBKPsよりも疎水性表面の割合は高いことが明らかとなった。また,この表面特性に起因してACC-BBKPsはACC-LBKPsより高い熱分解耐性およびエマルション形成能を有しており,ACC-CNFsは新規機能性材料として産業利用する上で高い実用性を示した。このように,表面特性および表面特性に起因する諸特性は原料種により異なるため,ACC-CNFsならびにnanoforest®を利用する際は用途に合わせて原料種を選定し,それぞれの特性を活かした研究開発を進めていく必要がある。

著者関連情報
© 2022 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top