2022 年 76 巻 2 号 p. 120-124
近年,世界的な環境意識の高まりから低炭素社会や,持続可能な循環型社会の実現が広く求められている。木質資源は,植林と伐採をくり返すことで再生循環が可能であることから,パルプや紙製品による石油資源製品代替化は期待されている。
当社グループでは,「紙でできることは紙で。」を合言葉に,再生可能な資源である「木」を原料とし,リサイクル可能な「紙」「パルプ」に新たな機能を付与した多彩な製品を提供している。パルプを原料とした新素材であるセルロースナノファイバー(CNF)関連製品もその一つである。
一方,当社CNFの中間原料の一つであるTEMPO酸化パルプ(TOP)は,TEMPO触媒酸化法により化学処理した木材パルプから得られる化学変性パルプであり,反応性に富み,高い解繊性を有しながら未変性の木材パルプのような扱いやすさを持っており,非常に多様な用途への利用可能性を含んでいる。
今回,このTOPにおいて,その一例として①疎水化変性TOP,②金属イオン担持TOP,③TEMPO酸化ミクロフィブリル化セルロース(MFC)としての利用について紹介する。