紙パ技協誌
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第50回佐々木賞受賞講演
インテンサマックスによるデトラッシュ技術
織戸 慧
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キーワード: J2離解
ジャーナル 認証あり

2023 年 77 巻 1 号 p. 36-40

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抄録

パルピング工程におけるデトラッシングシステム(異物処理)はパルパの能力を維持するために不可欠なものであり,近年の原料古紙の品質悪化傾向によりその重要性は年々高まっている。
デトラッシングシステムは補助離解機と洗浄・脱水機にて行われるが,近年ではよりパルパから異物を積極的に引き抜くために特に補助離解機の効率化が求められている。インテンサマックスはこの要望に応える特徴を備えている。
インテンサマックスは2010年にリリースされて以来現在まで300台以上の実績がある。特徴としては,まず,ロータとスクリーンプレートが本体上部に設置されているため,異物の巻き込みや摩耗が起こりにくく交換部品の寿命が長くなる。次に,ロータ中心軸とケーシング中心軸とが傾いた角度で配置されており,ケーシング内の同心円状の回流が起こりにくくすることで異物同士のからまりによる粗大化を防いでいる。また,リジェクト配管を本体最下部,かつ入口配管の近くに設置することで,重量異物の効果的な排出と,異物の不要な巻き上がりを防止している。
このインテンサマックスの導入例として,従来の補助離解機二台をインテンサマックス一台に交換した場合,省エネ効果として年間約1,560万円,かつメンテナンスコストを年間約600万円削減することが可能となり,安定したデトラッシングシステムの稼働が可能となった。

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