2024 年 78 巻 7 号 p. 552-557
中国/江門星輝造紙有限公司では工場コスト改善や国の施策への対応もあり,省エネルギーは継続的に取り組んできた重要なテーマである。当工場ではワイヤー・プレス真空脱水用として水封式真空ポンプを9台使用していたが,これらを効率が優れるリニア式タービン真空ポンプ4台に集約することで,748 kWの電力削減を達成することができた。
リニア式タービン真空ポンプの特徴として,磁気軸受を採用し非接触で軸を支持するため,回転時の抵抗(損失)が非常に小さく,高速回転が可能である。電動機は回転子に永久磁石を採用し,ベクトル制御インバーター駆動とすることで,最大効率は97%以上を達成している。また,ポンプのインペラーは三次元流体解析による高効率設計がなされており,さらに電動機と直結されることにより増速機が不要で高速回転が可能となり,伝達効率も高くなっている。
真空ポンプ・電動機共に非常にコンパクトであり,増速機や潤滑ユニットが不要で,汽水分離器を含めても装置全体のスペースユーティリティに優れるため,既存設備への導入が容易である。また,軸受の定期交換や日常の油脂管理が不要で,メンテナンスの省力化が期待できる。中国では採用実績が着実に伸びてきており,装置の省エネルギー性と信頼性への裏付けと考える。