50 巻 (1996) 4 号 p. 692-696
ワラ類には灰文, とくにシリカ分が多く含まれる。したがって, ワラ類の化学パルプ化, たとえばソーダ蒸解において黒液に抽出した灰分は, 濃縮工程においてスケール生成を起こして回収工程を困難にする。
以上の問題に関連して, 本報では稲, 小麦および大麦ワラの灰分組成およびアルカリ蒸解中のシリカの挙動を検討した。以下に, 結果を要約する。
(1) ワラ類の水抽出物は多い。シリカ残存量は水抽出後の稲および大麦で元のシリカの約70%であり, 小麦のそれは約40%である。稲ワラを水抽出した後の灰分を構成する元素はSiとCaで, その大部分はSiである。
(2) 市販シリカの苛性ソーダに対する溶解度は, 稲ワラのそれに比較して著しく少ない。これは両者のシリカの形態構造の相違に基づく。すなわち, 市販シリカはQuartz型であるが, 稲ワラ・シリカはOpal-CT型またはクリストバーライト型と推定される。
(3) ソーダ・サルファイトおよびソーダ・メタノール蒸解したパルプのシリカ分は, ソーダ蒸解のそれよりも多い。これは興味ある結果であり, 今後の検討事項はシリカの多いパルプのシート物性の解明である。