紙パ技協誌
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リニアモーターカーの概要と将来計画
長谷川 均武藤 雅威
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2001 年 55 巻 3 号 p. 299-303,015

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抄録

鉄道総研とJR東海が共同開発している,「超電導磁気浮上式鉄道」がリニアモーターカーの正式名称である。海外ではMagnetic Levitation (磁気浮上) を略してMaglevと呼ばれることが多い。以下超電導リニアと呼ぶ。
超電導リニアを一言で言うならば,「超電導現象を利用した超電導磁石を用い, リニアモーターで推進し, 浮上して走行する乗り物」となる。超電導リニアの特長は, 在来の鉄道が鉄のレールの上を鉄の車輪で走行するのに対し, 浮上して走行することである。また, パンタグラフで架線から集電してエネルギーを得ているのとは異なり, 地上側と非接触で, 集電することなく地上設備から直接, 電磁気的なエネルギーを得て超高速走行を行うという点にある。
超電導リニアの目標とする営業最高速度は時速500kmである。この際, 駆動力は電磁気的な力によるため, 平らな場所ばかりでなく, 急な勾配のあるところでも, 天候に関係なく時速500kmで走ることができる。さらに, 公共交通機関の場合, 天候に左右されずにどこでも安全に止めるということは, 絶対の条件である。超電導リニアは, 非接触で駆動・制動するので勾配や天候にともなう車輪の空転・滑走という問題がなく, 電磁気的な力で減速ができるので, いつでも高速から安全に停止することができる。
超電導リニアは, このように加減速が自在であるうえ, 騒音などの環境問題も大幅に低減できるため, 超高速での走行に有利なシステムである。本報では, これまでの開発の経緯について説明し, さらに今後の試験予定と将来計画について触れる。

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