2007 年 26 巻 3 号 p. 159-163
マイコプラズマは自己増殖能を持つ、細菌の1/10程度の大きさの微生物で培養細胞と共存して増殖する汚染しやすい微生物とされているが、培地が濁ることがないので混入に気付きにくい。しかし、マイコプラズマ汚染が研究に及ぼす影響は多大であり、サイトカインの発現異常、染色体の異常、細胞死などを引き起こし、その混入を軽視することはできない。そこで日本組織培養学会細胞バンク委員会と JCRB 細胞バンクは協力して、マイコプラズマ簡易迅速検査キット「MycoAlert®」を利用したマイコプラズマ汚染に関する全国実態調査を開始し、今までに11大学、2国立研究所、3企業の協力が得られている。既に1500検体程度の解析を実施したが、平均汚染率は22.4%という結果を得たのでその概略を中間報告として紹介する。今後我々は、さらに調査を進めると共に、細胞に汚染していたマイコプラズマ種の同定も行い汚染源の特定なども行いながら、マイコプラズマ汚染の予防法や除去法についての紹介も今後行っていきたいと考えている。