専門日本語教育研究
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特集
専門日本語教育における自己主導型学習の可能性
学習者による‘私の’専門語彙の抽出とリスト化
伊藤 秀明
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2014 年 16 巻 p. 23-28

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抄録

海外の高等教育機関もしくは日本の高等教育機関に在籍している日本語学習者数は年々増加傾向にある。そのため、日本語を用いて専門的な学習や研究を行っている日本語学習者の専門分野も広がり、日本語教師の専門分野に関する知識に頼った教師主導型の専門日本語教育では限界が見えてきている。そこで国際交流基金関西国際センターでは、2013年度文化学術専門家日本語研修でWebツールを利用した自己主導型学習による「専門語彙」の授業実践を行った。本実践の特色は、①専門語彙の学習を自己主導型学習として捉え、学習者の「必要な文献を読みたい」という直接的ニーズに応えると同時に、自身の研究に即戦力となる「今、必要な」専門語彙リストを短時間で作成することができる、②専門語彙の意味について文献内の文脈での意味理解を促し、カテゴリー分類することで専門語彙としての意味と用法への新しい気づきが生まれる、③手法に汎用性があるため、学習者にとっての自律学習能力の意識化に加えて、他機関の日本語教師にとってもすぐに応用可能なものである、という3点である。本実践を踏まえて、技術の進歩と人と人とのつながりを有効活用することで、専門日本語教育においても自己主導型学習が可能であることを述べた。

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© 2014 専門日本語教育学会
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