2014 年 16 巻 p. 79-84
本稿は、就労開始2年目のフィリピン人介護福祉士候補者2名に対して行った学習支援に関する実践報告である。学習目標「介護専門知識の習得」および「国家試験頻出語彙の習得」を達成させるために、日本語教育と介護分野の支援者が連携して学習支援を行った。しかし、「介護専門知識の習得」については、候補者は目標に到達せず、学習支援も計画通りに進まなかった。そこで、学習支援記録から、介護の専門学習の支援を行う上での日本語教育に関わる課題を明らかにした。本実践の課題から、効果的な学習支援のためには、介護の専門学習開始前に専門学習に必要な日本語能力を習得させること、学習難易度を踏まえて学習支援をすること、候補者の自律的学習を支援することが必要であると考察した。