2017 年 19 巻 p. 69-74
本稿は、引用を適切に行なうのに必要となる「解釈」の書き方をどのように指導するかを検討するものである。検討に先立ち、山本・二通1)による引用・解釈文の分類や論理展開の解釈構造モデルを参考にして、学習者の作文事例の分析を行ない、「解釈」の文を作成するのに、どのような困難があるのかを分析した。その結果、引用元資料の論点の読み取り方、引用元の着目点の書き方、着目点から主張への一貫性のある解釈文の書き方、適度なステップによる論理展開のしかたについての理解が不足していたことが示唆された。この問題に対処するには、引用を目的とした読解練習や、文の言い換えを解釈につなぐ作文練習、適度な展開のステップを意識化する練習などが有効であることを提案した。