抄録
本研究においては、歴史学/国際政治学/地域研究の《資料分析型》論文15編(各分野5編)を対象に、論文の構成要素を分類・抽出し、歴史史料の引用に基づいた叙述・解釈の表現について、その構造と類型および文体的特徴を分析した。また、それを通じて、《資料分析型》の引用から解釈への構造、特に「解釈的引用文」、「引用解釈的叙述文」の頻出表現と特徴的表現の分布を示した。さらに、史料の引用叙述と解釈に典型的に頻出する表現を例示し、個々の論文の研究対象とする場面の違い等による表現の異なりを指摘した。これらの結果を踏まえ、教育的な示唆として、引用叙述と解釈をへて歴史的経緯を描き出しつつ小括を繰り返す談話展開への着目を強調すると同時に、学習者の目指す分野における表現の特有性への配慮にも注意を喚起すべきであることを指摘した。