抄録
本研究は、学術日本語授業におけるポスター発表に着目し、成果物であるポスターを分析することで、論理的思考力の育成における課題を明らかにすることを目的としている。分析の結果、ポスターには、「参考文献不足型」「データ提示不足型」「批判的分析不足型」「問答不整合型」の4つの問題点が確認された。これらの課題に対する教育的支援として、引用や根拠提示の意義に対する意識喚起の教育、批判的思考を促進するための足場かけ的な工夫、「論文スキーマ」を構築するための長期に亘る継続的な支援活動の三つを提案する。本研究は、論理的思考力の育成に向けた学術日本語教育の改善やカリキュラム見直しの基盤を提供するものである。