抄録
最近, 大都市およびその周辺の水質汚濁は多様化し, 化学的にも複雑である。最近の研究から主な水質汚濁示標(BOD, COD, TOC)の応用と水中微量化学物質について, 著者の関連した仕事を中心に総説を試み, (1)水質汚濁示標はBOD/COD, BOD/TOCのように併用すれば, 汚濁水の性質および水処理について, 有効な知見が得られ, (2)GC-MSコンピューター手法による水中微量有機物検索の例(水道水, 河川水)を示し, 同法が有用な手法であることを述べ, さらに(3)今後, これらの水中微量有機質について, 長期摂取による健康影響についての研究の必要性について論及した。