Journal of UOEH
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リン酸トリオルソクレシル中毒
―ヒトにおける中毒例の文献的考察―
井上 尚英藤代 一也森 晃爾松岡 雅人
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1988 年 10 巻 4 号 p. 433-442

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抄録

リン酸トリオルソクレシル(TOCP)中毒は, 19世紀末以来数多く発生してきた. その中毒のほとんどが, TOCPに汚染された飲食物や薬物を気付かずに摂取して集団発生をきたしたものである. TOCP摂取後,まず胃腸症状が出現する. そして10日から20日の潜伏期を経て, 遅発性神経毒性として神経症状がみられる. 初発症状は下肢の疼痛と異常感覚である. 運動障害が主体となり, 両下肢や四肢に麻痺が起こる. 重症例では錐体路徴候が加わる. 病理学的には, 末梢神経の軸索変性, 脊髄前角細胞, 側索や後索に変性がみられる. 主な治療法は運動機能回復訓練である.

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© 1988 産業医科大学
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