抄録
酸化エチレン500ppmをウィスタ一系雄性ラットに1日6時間, 隔日週3回, 3ヵ月間曝露させ, デルタアミノレプリン酸とコブ口ポルフィリンの尿中排泄への影響を検索した. 対照群には曝露群と等量の食餌を与え, 同一期間空気を吸入させ比較した. 曝露群では尿量は最初の3週間有意に増加したが, その後は明らかな増加はみられなかった. 尿中のコブロポルフィリンの1日排泄量は曝露開始直後より増加し, 曝露期間中その有意の増加をみた. クレアチニン補正濃度では2週後より有意に増加していた. 一方, デルタアミノレプリン酸の1日排泄量も増加傾向を示したが, クレアチニン補正濃度では有意差はみられなかった. 以上より, 酸化エチレン吸入曝露ではラットにポルフィリン尿症が起こることを明らかにした.