Journal of UOEH
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脳神経外科疾患における睡眠時頭蓋内圧波の分析
そのⅠ. 頭蓋内圧波の分類とその臨床的意義
横田 晃松岡 成明石川 忠廣合志 清隆梶原 秀彦
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1989 年 11 巻 4 号 p. 371-381

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抄録

頭蓋内圧亢進症状あるいは画像上脳室拡大を示した85人の患者について, 頭蓋内圧・脳波および関連生体現象を夜間8-12時間にわたって連続記録した. 頭蓋内圧連続記録によって得られた圧波をその出現様式に従って5型に分類し, それぞれの圧波型と睡眠および臨床病態との相関を検討した. 突発性に出現するA波(Ⅰ型)とepisodic B波(Ⅱ型)は慢性期の頭蓋内圧亢進状態あるいは慢性期水頭症に主として出現し, これらの患者は意識が保たれ, 脳波上もREM期を含む睡眠周期がよく観察された. 一方, B波が高圧域で持続出現する場合(Ⅲ型)あるいは中圧域で規則性・連続性に出現する場合(Ⅳ型)は, 頭蓋内出血の急性期・亜急性期患者にみられ, 種々の程度の意識障害を示し, 脳波上も正常の睡眠周期を欠いた. 頭蓋内圧が正常圧の範囲にとどまり, 圧波を欠く場合(Ⅴ型)の臨床的意義は見いだせなかった. 突発性および連続性圧波の形成機序に関して臨床的観点から考察した.

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© 1989 産業医科大学
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