抄録
(Na, K)ATPaseは, α, β 2種のサブユニットより成るが, βサブユニットの機能としてこれまで同定されたものはない. そこでβサブユニットの機能を探るため, それぞれのサブユニットに対するmRNA(Torpedo californica由来)をXenopus laevis卵母細胞に注射して各サブユニットを発現させ, それらの性質を分析した. 各mRNAを単独で注射した場合でもサブユニットは合成されたが, それによる(Na, K)ATPase活性の増加はほとんど観察されなかった. ところがあらかじめmRNA βを注射してβサブユニットを合成させた卵母細胞に, 後からmRNA αを注射してαサブユニットを合成させると, (Na, K)ATPase活性の増加が観察された. これは(Na, K)ATPaseの両サブユニットの機能的な会合には必ずしもそれらが同時に合成される必要のないこと, およびβサブユニットはαサブユニットの受容体として機能する可能性を示唆している.