抄録
成人病健診の期待効果を, 成人病の自然史と疫学的な特徴に基づいて理論的に検討した結果, 健診発見例と症状発見例の比が, 疾病の前臨床期の長さ, 健診間隔および健診の疾病発見能力の3変量の関数として表現でき, 健診効果の継続的モニタリングに有用な指標であることが明らかとなった. この結果を住民健診受診者の追跡調査に応用したところ, 全症例のうち健診発見例は全疾病では15.3%, 高血圧性疾患では43.8%であった. 本方法は健診間隔や検査項目と期待効果の関係から最適な健診プログラムを設計する際に有用である.