抄録
肺がんを, その発生過程で喫煙が関与するがんと, 喫煙が関与しないがんとに区別する原因論的な発がんのコンパートメント・モデルを新しく開発し, それを喫煙者と非喫煙者について英国医師のコーホート研究より導がれた肺がん罹患率の式に適合させた. このモデルは喫煙者と非喫煙者の肺がん罹患率をよく記述することができ, また禁煙後は, 罹患率が禁煙時の値に固定されるとするデータとほぼ同じ傾向を示す. このモデルは, 発がんのメカニズムの見地からも生物学的に妥当なモデルであると考えられる. さらに, モデルの応用として地域での衛生行政の施策策定のため, および地域のデータに基づいた衛生教育のための基礎資料として禁煙による肺がんのリスク変化を計算した.