抄録
糖原病Ⅲ型では多くの組織において糖原解鎖酵素(アミロー1,6-グルコシダーゼ)が欠損しているという特徴がある. この疾患の患者においては, 生検筋で限界デキストリンからグルコースを遊離する活性が低い. 我々は糖原解鎖酵素欠損症患者の皮膚生検より線維芽細胞を培養し, この培養線維芽細胞を用いてグリコーゲンの代謝を調べた. この線維芽細胞から得られた細胞上清分画における糖原解鎖酵素の活性は, 用いた酵素量に比例することを確かめた後, 正常ヒト線維芽細胞(YH-1)と比較するとその約半分であった. 皮膚から培養した線維芽細胞における糖原解鎖酵素の活性は, この患者の筋生検の場合とほぼ同じレベルまで減少していたが, 電顕による観察ではこの線維芽細胞の細胞質にグリコーゲン顆粒の蓄積はほとんど認められなかった. 今回の実験で得られた線維芽細胞は, 分子レベルにおける糖原解鎖酵素欠損症のメカニズムの解析に有用であると思われる.