抄録
2体の成人悪性腫瘍剖検症例の膵に, 奇異な内分泌細胞増殖像が認められたので報告する. 組織学的に, 2症例とも膵全体にわたって著明な膵島の増生像が見られ, 膵島は大型で辺縁は不規則であった. また, 膵島細胞, 腺房細胞, 膵管上皮細胞の混在した像も見られた. 免疫組織化学的に, 膵島は種々の内分泌細胞, すなわちA, B, D, PP細胞から構成されており, 特に, PP細胞の優位性が認められた. 臨床的には2症例とも明らかな膵内分泌機能の亢進を認められてはいなかった. このような膵島の組織学的変化は内分泌細胞過形成あるいは異形成と表現されるのであろうが, 膵島細胞と腺房細胞, 膵管上皮細胞との密接な関係からは, むしろ何らかの刺激によるこれら細胞の膵島細胞への化生性変化が示唆された.