抄録
安静時胸痛を主訴とし, 冠動脈造影の際Ergonovine負荷試験にてCoronary artery ectasiaと考えられる部位に冠動脈攣縮(spasm)が誘発された1例を経験した. 症例は45才, 男性. 安静時に胸痛が出現し, nitroglycerin舌下錠が著効を示した. 入院後も同様の発作が頻発したが, 発作時心電図, 頻回のHolter心電図にても有意な心電図変化はなく, 各種負荷試験・誘発試験(Valsalva maneuver, Hyperventilation and cold-pressor test)でも陽性所見を認めなかった. 冠動脈造影にて, 左冠動脈(LMT, LAD, LCX)にectatic changeを認め, Ergonovine負荷にて同部位にspasmが誘発され, 自然発作と同様の胸部症状が出現したが, 有意な心電図変化を認めなかった. Coronary artery ectasiaにおける心筋虚血の発症機序としてspasmが関連することを示唆する稀な症例と考えられた.