抄録
18人の健康なボランティア(男7名, 女11名 平均年齢と標準偏差は各々22.7±2.05, 21.2±1.11才)にアストグラフ法および一回呼吸法を用いてアセチルコリン吸入による気道反応を比較検討した. 18名の被験者のうち11名(61%)はアレルギーや喘鳴の既往は無かったが, 5名(28%)にアレルギー性鼻炎, 2名(11%)に喘息の既往があった. 7名(64%)の既往歴の無い健常者と全ての喘息およびアレルギー性鼻炎既往者はアセチルコリンの吸入に反応した. 呼吸コンダクタンス(Grs)と1秒量のアセチルコリン吸入前の基準値に対するパーセントを累積アセチルコリン吸入量の対数値と比較した. 大部分の被験者が両法で似通った反応パターンを示した. 1秒量とGrsが各々減少を始める最低累積濃度(各々CminS, CminA)を気道の感度とすると, 両者は良い相関を示した(r=0.750, P<0.01).以上の結果よりアストグラフのような複雑な方法をとらなくても, 簡単な一回吸収法により気道の反応性を容易に検出できることが判明した.