71才の女性に生じた, 初発部位としては稀な肝放線菌症の1例を報告する. 診断は総胆管結石症に対する手術時に, 部分切除された肝組織材料より病理組織学的になされた. 術前, 臨床的に感染症兆候は認められなかった. 肝病変は2cm大の結節で, 組織学的には線維化を伴う膿瘍形成性の化膿性炎症であり, 辺縁に根棒体を有する好酸性の放射状顆粒が見られた. Brown-Brenn法ではグラム陽性で分枝状線維様の桿菌が認められた. また, Ziehl-Neelsen法のputt変法により抗酸性も証明された. これらの所見は肝放線菌症として矛盾しないものと考えられた.