抄録
症例は28歳女性, 全身痙攣発作のため入院. 単純CTでは右頭頂葉に不規則な小低吸収域が認められた. 造影CTでは同部にくさび状の高吸収域が認められ, 右側脳室にまで及んでいた. 脳血管造影では右角回動脈, 外側後脈絡叢動脈を主流入動脈, 上矢状洞, 蝶形頭頂静脈洞, 中隔静脈を導出静脈とする動静脈奇形が認められた. 右頭頂葉の動静脈奇形の術前診断にて摘出術を行った. 術中, 動静脈奇形以外に右側脳室内に腫瘤を認めたため摘出した. 組織所見は髄膜腫であった. 合併した髄膜腫の発生要因として, 脳動静脈奇形によってもたらされた血行動態の変化による慢性的刺激の関与が推測された.