抄録
労働安全衛生法が改正され, 労働者の疾病予防を中心とした健康管理から健康の保持増進を進める自己管理の方針が打ち出された. それによって, 運動を中心とする生活習慣の改善が提唱されている. 健康の保持増進対策を直接的に指導する産業医にとって, 運動指導に関する基本的な知識は必須のものであり, かつ運動に対する高い関心を持つ市民の指導のためにもスポーツ医学への関心が医師間に急速に高まっている. しかし, 現在, 医学部教育に確立したスポーツ医学の講義課程が存在するわけではなく, 各種講習会を中心とした卒後教育に頼っているにすぎない. さらに, 多くの労働者の運動指導をするためには多くの運動指導専門職を必要とする. 現在, これらの要求に答えるべく, 多くの省庁, 関係団体によって, 種々の運動指導専門家の養成が開始されている. その現状を一覧するとともに, 運動指導医の育成状況についても総説した.