抄録
雄性マウスに対し, 400ppmの濃度の酸化エチレンを1日6時間, 週3日, 13週間吸入曝露し, 血液検査および肝薬物代謝酵素系への検索を行った. 臓器重量では, 相対重量で肝, 脾重量に変化はみられなかったが, 腎重量は増加し, 精巣重量は有意に低下した. 血液学的には大球性低色素性の貧血を認めたが, 白血球数, 血小板数に有意な変化はみられなかった. 肝モノオキシゲナーゼ系ではシトクロームP-450量が増加し, NADH-フェリシアナイド レダクターゼ活性が上昇していた. 一方, シトクロームb5量, プロトヘム量, NADPH-シトクロームCレダクターゼ活性は曝露群と対照群で有意な差はなかった. 肝グルタチオン代謝系ではグルタチオン レダクターゼ活性およびグルタチオン ペルオキシダーゼ活性が低下し, グルタチオン-S-トランスフェラーゼ活性が上昇していた.