Journal of UOEH
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感覚性失調症の4例
―その原因と病態―
牟田 好博大西 晃生山本 辰紀橋本 朋子村井 由之
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1992 年 14 巻 1 号 p. 59-65

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抄録
本報告では, 産業医科大学病院開設以来, 末梢神経障害を主徴とし, 入院精査を受けた85例の中で, 第一次感覚ニューロンの障害による感覚性失調症を示した4例の臨床・病理学的特徴を明らかにした. 症例1は初発時52歳の女. 慢性進行性失調性感覚性ニューロパチ一例である. 発症9年後の現在, ほぼ全介助を必要とする寝たきり状態である. 症例2は初発時63歳の女. 肺の小細胞癌による癌性感覚性ニューロパチ一例である. 抗癌剤治療による神経症状の改善は認められず, 発症2.4年後に死亡した. 両例の病変の主座は脊髄後根神経節神経細胞体と判断された(症例2では剖検により確認). 症例3と4は, それぞれ54歳と45歳の男. 失調型急性多発根神経炎例である. 症例3では発症5.5年後の現在も軽度の失調性歩行が認められる. 感覚性失調症は, 患者のADL(activities of daily living)を規定する一つの重要な症候であり, その原因診断と治療に際して各症例毎に詳細な検討が必須である.
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© 1992 産業医科大学
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